競売物件に対する抵抗感が最近ではあまりないようである。一般の売物件と同様にとらえている。「首っつりの足を引っ張る」と言われたのはもう古い昔の話であろう。かつてこう言われて私は友達を失った事があった。足を引っ張るのではなく、競売になってしまった人の、一日も早い再起をお手伝いするんだという気持ちをいつも持っている。
どういう状況でもそこにどっぷりつかってしまうと、人間は動くことが億劫になる。動かなければ再起は覚束無い。昔ある建設業者が傾き、いくつかの競売物件が出てきた。社長にあうと「品のいい紳士」という言葉がピッタリの人であった。「任売にしませんか」と私は話をもちかけたわけであるが、かけ出しの私など、とても太刀打出来ないくらいの充分な知識を持っていた。しかし自分では何もせず「面倒くさいから、鈴木さんにまかせる」であった。いくつかの物件を整理させてもらった。ある土地を半分売り、残地に自宅を作り、晩年はそこでご夫婦で暮らされていたはずであった。
あれから三十年。彼の会社の不動産が又、競売市場にでてきた。何があったんだろう。私はどうするだろう。